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囚われの城
第11章 サラという人間
「あーあ。エッチしたいなぁ…」
「ここにいればできるじゃないですか」
皮肉を交えて瑠菜が言った。
しかしサラは、怒るどころか深いため息を吐く。
「お客様の相手なんてつまんないもん。あいつら、自分が気持ち良くなればいいって感じ」
「ご主人様に気に入られてるんじゃないんですか?」
「ぷっ。あんた本当鈍い」
瑠菜は黎明の指の動きを思い出した。
鈍いって、なに?
「ご主人様も日向さんも龍も、最後まではしないの。何があっても」
もくもくと乾拭きをするサラをよそに、瑠菜は手を止めた。
何があっても最後まではしない?
日向に抱かれた時のことを思い返した。
それに、龍とも…。
「やっぱ似てるんだねぇ」
「確かに似てますね。仲の悪い兄弟みたい」
「はぁ?!」
「あ、いや…すいません」
サラが眉間にしわを寄せて声を張り上げたので、瑠菜はとっさに謝って作業を続けた。
サラがどんなことを考えているかわからないから、迂闊な発言はしないほうがいいなと思った。
昼ご飯の準備や物置の整理など、丸一日かけて仕事をおさらいする。
夜はシャワーを浴びて、白いレースのワンピースに着替えた。
「ねぇ、瑠菜ちゃんってサラと仲良いの?」
「え?」
「藤沢家の専属メイドになるって話、本当なの?」
早く寝ようと思った時、竹の間のメイド2人が訪ねてきた。
瑠菜はなんのことだかわからず、2人の顔を交互に見る。
「テレビにもよく出てる、大金持ちの藤沢家だよ。そのご令嬢の専属になるって話!」