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囚われの城
第9章 変化する気持ち
その日、瑠菜が連絡する前に紫苑から連絡があった。
紫苑からのメールは、まるで会話をしているかのように早い。
瑠菜は部屋にこもり、龍と暮らし始めて初めて、龍と別々に食事をとった。
【今週の日曜日、練習試合が終わったら遊ばない?】
突然のお誘いメールが来たのは、夜中の1時。
瑠菜はベッドで丸くなりながらそのメールを何度も読み返した。
大好きな人からのデートのお誘い。
瑠菜は眠さも吹き飛んで、紫苑とのデートに想いを馳せた。
次の日には、ユズに報告した。
「早くない?ちょっと、気をつけなよ?」
ユズは喜んでくれたが、どこか心配そうだった。
ユズの好きな人もサッカー部で、紫苑と友達だった。
ユズは一度、その好きな人に告白したが、まだサッカーに集中したいから今は考えられないと断られている。
それでも好きで、来年サッカー部を引退してからまた告白する!と意気込んでいた。
そんな話をしながら、次の授業で理科室を使うため移動していた瑠菜とユズ。
途中、紫苑とその友達の集団に出くわした。
ユズの好きな人もいた。
「おはよ。日曜日、忘れないでね」
「あっ、はい!」
通りすがりざまに紫苑から話しかけられた。
瑠菜はドキドキしながらもニコッと笑って返した。