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第5章 偶然

今日、樹がスーパーにいたのは、偶然だろうか。。。？

こないだ、図書館にふらっと現れたのは偶然だろうか。。。？

偶然に装った、必然だろう。。。


気づいてる。。。？


健人の存在に、気づいてる？


まだ、確信してはいないだろう。。。

法律上は、夫婦だ

健人とは、どんなに求め逢っても、不倫だ。。。

いつまでも、この空間に逃げていられるわけはない。。。

樹は。。。旦那は、何を考えているんだろう。。。

わからない。。。

この終わりのこないような、気まづい環境に負けそうになる

じわりじわりと、蜘蛛の巣を張り巡らしてくるようだ

樹とは。。。旦那とは。。。偶然は存在しない。。。


健人は私を運命の人だと言っていた

初めて出会った時、私が階段から降ってきたらしい

受け止められなかったから、悔しかったらしい

何となくの記憶しかない


次に出会ったのは、中学生の時らしい

私が体育館裏で告白されて、断っていた所を、その彼が無理やり抱きしめてきた

健人が偶然見ていて助けようとした時、私は告白された彼を、蹴り飛ばしたらしい

当時、私は護身用に空手を習っていた

男に助けてもらわなくても、自分を守るくらいはできた

助けられなくて、悔しかったらしい

蹴り飛ばした後に目が逢ったのが健人だったのは、驚いた

３度目に出逢ったのは、高校生の時

私は彼氏にふられて、泣いていた。。。

初めて付き合った彼氏は、他に女がいた

すごく悔しくて、好きで、忘れられなかったのを覚えている

誰もいない公園で、大きな声で泣いた。。。

涙が枯れることはなく、何時間も泣いたのを覚えている

健人は、彼氏と言いあいをしている時から、公園で、見ていたらしい。。。

大きな声で泣いている私を抱きしめることも出来なくて、悔しかったらしい。。。


階段の上から降ってきた女の子が、助けもいらないと、男を蹴り飛ばして、女の顔で泣いていた

受け止めることも、助けることも、抱きしめてあげることも出来なくて、年下の健人は歯がゆかったみたいだ。。。

早く、大人になって追いつきたかった。。。

4度目に出逢った私は、結婚していた

図書館で会った私は、健人に笑いかけていたらしい。。。

ひまわりのような笑顔だと言っていた