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第5章 4月4日

とにかく、遺伝子学の進展によって、ピラミッド内の選民は生まれる前から、遺伝子検査により生き方が決められてしまうのだ。


また、人は人を育てたり教えたりしない。

職務として母乳を採取される者はいるが、
赤子の育成からアンドロイドや機械が携わり、教育もモバイルで完全に一人一人に行われる。

選民には産みの親も育ての親も教師もいない。

そこはIＴ、機械、アンドロイドが全て担っている。

何故、人が関わらないのか、理由があるのかどうかも不明だが、
育成に纏わる仕事を行う人間はいない。

だから、俺は多分生まれた時からこの居住区で生活していると思う、としか言えないのだ。

人を介さなくなったのは、家族という概念がなくなったせいではないかと考えている。