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輪廻 ∞繰り返されるループ∞
第10章 4月9日
優翔は少し考えていた。
それはそうだ。形あるものに完璧なものはないとして、ホログラムによりMを作った。
日々改良を重ね、物足りなさを感じ、Mに反発するという自我を与えた。
それはミューという名前を持ち、自ら改良を行い、まるで作られたものという域を越え人格を有した。
そして彼女が望んだものは、優翔が与えたくなかったものだったのだ。
『ミュー、それは、どうして与えないか、知ってるだろう。』
『それは、、』
ミューの服が溶ける様に消え、アップしていた髪が解け風にたなびく様に広がる。
胸も、アニメーションのような非現実的なものから、やけに肉感的なものへと変わり、形が定まらなかった。
『それは優翔さまが臆病だから、でも、これを見て。』
ミューがパソコンを起動させ、画像を表示させる。そこには人工樹脂の身体にICチップを入れたアンドロイドを制作する機械が映されていた。
『ミューがこれを使って身体を作り、チップに動くのに必要なデータをコピーする。
優翔さまの好みの女性になるようにするし、気に入らなかったら何度でも作り直せるから。』
喋りながらもミューの身体は変化し続け、優翔の身体をなぞり続けた。
『わかったよ、ミュー、この機械を買おう。』
優翔の給料の何年分もする機械だが、ミューは自分の為に粗食にして金を貯めていることを、その金額を知ってたのだろう。
優翔がパソコンに向かい購入手続きを行うと、
『次に会う時はこの身体でね。』と、言い残して消えていった。
優翔が慌てて声をかけても現れず、仕方なしにエロ動画とバーチャル加工の栄養剤でその後を済ます優翔は見るに堪え難く、俺はモニターを消した。