この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
輪廻 ∞繰り返されるループ∞
第2章 2XXX年4月1日
ホルダーは洗浄までしてくれるが、やはりシャワーを浴びてさっぱりしたい。
「シャワー」
告げれば床下と天井からガラスの筒が現れる。
朝食をオーダーし筒に入れば、天井から降りたシャワーヘッドから適温の湯が降り注いだ。
そして床からスポンジが現れ隅々まで洗ってくれる。
今一度シャワーを浴びると湯が湧いて、胸元まで浸かり、満足すると排水された。
『風呂』と言えばバスタブも出てくるが、あまり必要ない。
バーチャルの風呂の方がよほど気持ちいいからだ。
仕上げは乾燥までしてくれて、抗菌チタンを練り込んだ『服』でラッピングしてくれる。
ガラスの筒が上下に分かれて開くと、オーダーしたBLTサンドのベーコンを炒める匂いがしている。
そして今日の気分に合った豆の珈琲を落とす匂いも…
室内で誰かが調理しているわけではない。
食欲が湧くように流された聴覚と嗅覚のバーチャルだ。
窓際のカウンターに腰掛けると、壁面からバーチャル通りの食事が出てくる。
誰かが、もしくは機械がレンジとかいう機械で解凍して出してくるらしい。
窓のカーテンを開けると、富士山からの御来光と共に眼下の景色が拡がる。