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僕は、ヱッチな小説を書キてゐゑ
第9章 コンテスト受賞作の作り方

>私は真実が輝くモニターのその向こう側に夢中になった。
>朝昼晩と、何故か食事が置かれている不思議な扉に背を向けて。
この文の場合、まず最初の段階「その向こう側に」では映像をイメージさせません。そのようにコントロールしています。
その上で「朝昼晩の食事」→「置かれている」→「扉」→「背を向けている話者」とカメラワークを展開して、扉を挟んで食事と話者がいる映像を完成させています。話者がどっちを向いているのかも。
そして、その前までの段落で説明されている事柄から、話者の目の前にはパソコンのモニターに映るゲーム画面があり、またその画面を見つめるその表情はキラキラと輝いている――というようなことまで読者は想起するでしょう。
イマジネーションが豊かな人であればさらにもっとたくさんのイメージを思い浮かべ――それはもうその読者さんの個人的な体験などの領域なので作者のコントロールを離れていますが、カメラワークの誘導が良いと文章以上のものを読者にギブすることができます。
このパターンは、最初にイメージを制限しておいて、そこでためたパワーを最後の情景完成で開放して衝撃を強めるカメラワークです。更にその前の段落まで含めると、そのことによって明暗のコントラストを強調するカメラワークでもあります。

