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霞草
第1章 はじまり
僕は大学受験に失敗した…
というか、元々一生懸命でなかったのかもしれない。
僕の父は、総合病院を経営している。
現在兄貴は、後継ぎとなるべく、他の病院で研修医として勤務している。
僕は小さいころから母に、
「あなたも大きくなったらお父様のようにお医者様になるのよ。」
と言われ続けて育った。
僕もそれが当たり前だと思っていた。
何でもそつなくこなし、一番の大学を、一番で卒業した兄。
物心ついた時から、完璧な兄をみて、自分はそこまで優秀ではないと、いつも引け目を感じていた。
志望校を決める時、自分と兄との能力の差を明らかにされ、
所詮、自分は二流で兄に比較され、馬鹿にされながら生きていくしかないのだと思い知らされた。
それから、勉強に身が入らなくなり、結果、滑り止めの大学にも合格しなかった。