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霞草
第1章 はじまり
医者になる、なれるのだろうか、いや、なりたいのか…
天井を見ながら、とりとめのない思いに心を巡らしていると、
突然、ここにいるから全てが決められているのだという考えにたどり着いた。
そしてここから出て違う世界に逃げ出したくなった。
思い始めたら、今すぐ実行すべきだ。
ぐずぐずしていると、またレールに乗せられてしまう。
脱線ついでにレールから離れてしまえばいい。
僕は旅支度をはじめた。ありったけの金、通帳、数泊の着替えを荷物にまとめ、朝早く家族が寝ている間に家を出た。
短い置き手紙を残して。
[しばらく旅に出ます。自分探しの旅です。探しているものが見つかったら帰ってきます。僕を探さないでください。]
捜索願でも出されて中途半端に連れ戻されるのはたまらない。
初めて思い付き、自分の気持ちで行動したのだから。