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霞草
第6章 二人の想い
ちょうどその時、おじさん達が入ってきた。
「坊主、さっきはありがとう。さすが機転が効くね。」
おじさんはこめかみをトントンと指差しながら言った。
「いえ、酔っ払いの相手は、させたくないですよね。それだけの事で…」
霞が改めて、
「本当にありがとう。」
と言った。
その後はいつものように楽しい団欒の時となった。
そして、明日二人で街に出掛けたいことを話すと、
おばさんは喜んで
「楽しんできてね。」
と言ってくれた。
朝、団体客の食事の間、僕と霞は食堂の手伝いに入った。
昨日、霞に絡んだ男が、霞を見るなり、深々と頭を下げて、
「昨晩は、不愉快な思いをさせてすまなかった。お兄さんに言われて反省したんだ。優しいお兄さんだね。」
と言って僕にもぺこりと頭を下げた。
霞は、男が僕を兄と言ったのでちょっと不思議そうにしていたが、
話を合わせて、
「はい。」
とだけ答えた。