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Sな彼女
第7章 接近

受付から名前を呼ばれたので、興奮している岬から一旦離れて、薬を受け取り会計を済ませた。
溜息をつき、顔を覆っている彼女に言った。
「俺、帰るよ」
「だめっ‼︎」
有無を言わせない鬼気迫った表情で、岬は俺のスーツの袖を掴んだ。
「あんなセリフ言っといて、連絡先も教えないまま帰るとかありえない!」
「……よく分からないんだけど」
本当に岬の言っている事が分からなかった。
嫌いじゃないから、嫌いじゃないと言った。
好きだから、好きだと言った。
それだけなのに。
「あたしが薬を受け取るまで待ってて。ここの近くにバラの綺麗な小さな公園があるの。人も少ないし、そこでさっきの話の続きをしよ?」
どうやら岬は俺をこのまま帰すつもりは更々無いようだ。
バラにはそれ程興味は無かったが、人が少ないなら断る理由もない。
俺は黙って頷いた。

