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第14章 烈しさと切なさと、愛しさと

　下町に行けば、必ず立ち寄るのは〝曹さんの本屋〟だ。五十ほどの曹康篤(チヨ・ガンドク)は宮殿でしかつめらしい顔をしている集賢殿（チッピョンジョン）の学者よりよほど博識である。





　若い頃には一時、本気で科挙受験のため猛勉強していたとか聞いた。ガンドクほどの人物なら、恐らく首席合格（壮元及第）も夢ではなかったはずだ。結局、科挙を受験して合格までしながら、何故仕官せずに市井の本屋の一主人に徹する道を選んだのかは誰も知らない。