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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第14章 烈しさと切なさと、愛しさと
その時、ファソンは庭園にいた。王宮の庭園は広く、四季の花が丹精されている。今は巨大な池の水面を蓮(はちす)が一面に彩っていた。
とはいえ、まだ開花しているものはなく、蕾がそろそろ色づいてきた程度である。この無数の蕾たちが一斉に開けば、それはもう見事なものだろう。
ファソンが入宮したのは丁度一年と少し前になる。ゆえに庭園の花たちを見るのはこれで初めてというわけではない。が、新米女官として新しい後宮生活に慣れるのに夢中のあまり、庭の花を愛でる心のゆとりもなかった。
とはいえ、まだ開花しているものはなく、蕾がそろそろ色づいてきた程度である。この無数の蕾たちが一斉に開けば、それはもう見事なものだろう。
ファソンが入宮したのは丁度一年と少し前になる。ゆえに庭園の花たちを見るのはこれで初めてというわけではない。が、新米女官として新しい後宮生活に慣れるのに夢中のあまり、庭の花を愛でる心のゆとりもなかった。