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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第14章 烈しさと切なさと、愛しさと
「ファソン?」
カンの声にやや苛立ちが混じった。当然だろう、この国の王に話しかけられて、返事をするどころか振り向かない畏れ知らずの人間など、いないだろうから。
「何でしょうか、殿下」
ファソンは振り向き、カンと向き合った。二人の距離はさして離れてはいなかったけれど、今はこのわずかな距離が途方もなく遠い。
それでも、ファソンの胸の鼓動は、この男の顔を見ただけで跳ねる。初めて逢ってから一年も経つというのに、いまだにときめくのだ。
カンの声にやや苛立ちが混じった。当然だろう、この国の王に話しかけられて、返事をするどころか振り向かない畏れ知らずの人間など、いないだろうから。
「何でしょうか、殿下」
ファソンは振り向き、カンと向き合った。二人の距離はさして離れてはいなかったけれど、今はこのわずかな距離が途方もなく遠い。
それでも、ファソンの胸の鼓動は、この男の顔を見ただけで跳ねる。初めて逢ってから一年も経つというのに、いまだにときめくのだ。