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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第3章 〝本の虫〟と呼ばれる少女
言いかけ、彼女はたった今、ぶつかったばかりの相手をまじまじと見つめた。相手はあろうことか、二十歳ほどの若者であった。絹製の薄紫の上等なパジ、更には鐔広の帽子から垂れ下がった紫水晶(アメジスト)の玉を見れば、彼が相当に身分のある両班の子弟であることは一目瞭然だ。
とはいえ、ファソンが愕いたのは彼が常民ではなかったからではない。ファソンの周囲にもそのような若い青年は当たり前にいるから、別段愕くようなことではない。