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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第4章 突然の見合いと家出
「ねえ、何で、あなたがここに用があるの?」

 先刻から幾度、同じ問いを繰り返したことか。ファソンは今、王宮の正門前に立っていた。もちろん、古書店の前でカンと再会し、ここまで連れられてきたのである。

 
「まあ、良いから」



 その度に、カンは同じ応えしかくれない。ファソンは昨日の彼との会話を懸命に思い出そうとした。確か彼は国王殿下に仕えていると話していたのではなかったか。どう見ても、王の側近のようには見えず、下手をすれば任官さえしていない極楽とんぼに見えたものだが―。官吏だという話は真実だったのかもしれない。 
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