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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第4章 突然の見合いと家出
線も細い優男にしか見えない彼もやはり男なのだと判った。ファソンが脚を踏ん張ってみても、彼は楽々とファソンの手を掴み、半ば引っ張るようにして正門をくぐり王宮内の敷地をどこに行くものか、早足で歩いてゆく。
明らかに官服を纏っているわけでもないのに、門を守る衛兵は彼を見ても咎め立てもしないし、少し進んで殿舎が見える辺りまで来ると、お仕着せを纏った女官たちともすれ違うようになるが、彼女たちも皆、一様にカンを不審者扱いはしなかった。―どころか、カンをまともに見ようともせず、面を伏せてそそくさと通り過ぎてゆくばかりだ。
明らかに官服を纏っているわけでもないのに、門を守る衛兵は彼を見ても咎め立てもしないし、少し進んで殿舎が見える辺りまで来ると、お仕着せを纏った女官たちともすれ違うようになるが、彼女たちも皆、一様にカンを不審者扱いはしなかった。―どころか、カンをまともに見ようともせず、面を伏せてそそくさと通り過ぎてゆくばかりだ。