この作品は18歳未満閲覧禁止です
国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第16章 嫁と姑
あのときは今日という日が来るとは想像もしなかったけれど―。それで良かったのだ。
想い出はいつまでも美しいままが良い。あの日、彼に烈しく愛された幸せなままの私で、私は彼の前からいなくなる。
覚悟をしたつもりでも、なお、心が苦しい。彼にもう一度、あの夜のように抱きしめて、〝そなただけだ、何があっても、そなたを一人にはしない〟と熱く囁いて口付けて欲しい。
未練がましく願ってしまう我が身を、ファソンははしたなく思うのだった。