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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第19章 嵐の予感
 対してカンは〝王位を譲っても良いと思えるだけの徳を持つ王族がいれば〟譲位しても良いと応えた。つまりは承誠君に〝王たる資格はない〟と明言したも同然である。



「それはそうと、殿下。その中殿さまですが、それはもう絶世の美姫だと巷ではたいそうな評判です。殿下のお心を一瞬で虜にしたというその美貌はお名前のごとく花のように麗しく、王宮の庭園に咲き乱れる花さえ中殿さまと眼を合わせれば、中殿さまのあまりの美しさに恥じ入ってうつむくとか。そのような姫がまだ残っていたとは、私も迂闊でした。知っていれば、真っ先に婚姻を申し込んだでしょうに、残念な限りです」
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