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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第20章 危険な駆け引き
いつしか承誠君は立ち去っていた。まだ低い声で笑いながら、扇を閃かせて。彼の男ぶりに、すれ違おうとした妓生二人が眼をそばだてている。妓生が呼び止めて誘い文句でも口にしたのか、承誠君は立ち止まり、彼女らに魅惑的な笑顔を振りまき、やがてゆっくりと人波に呑まれた。
艶やかに装った妓生たちはまだ上気した表情で承誠君の消えた方を見つめている。素人女だけでなく、男を相手に商売する妓生でさえ、あの男は見事に誘惑するのだ。その癖、女に対してはひと欠片の情も持たず、玩具のように慰みものにして棄てるのだろう。
艶やかに装った妓生たちはまだ上気した表情で承誠君の消えた方を見つめている。素人女だけでなく、男を相手に商売する妓生でさえ、あの男は見事に誘惑するのだ。その癖、女に対してはひと欠片の情も持たず、玩具のように慰みものにして棄てるのだろう。