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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第33章 血まみれの剣と花

李家の屋敷の前は比較的狭い道になっていて、人通りも少ない。都の大通りからはかなり離れているのである。その細い道を夢龍の乗った馬はゆっくりと遠ざかってゆく。良人はこれから参内するのだ。
春香は夢龍の姿が角を曲がり見えなくなるまで、そこで見送り続けた。こうやってもう幾度、愛する男の無事を祈りつつ送り出したことか。春香は今、満ち足りて幸せだった。それは何も両班の奥方になれたからではない。愛する夢龍の傍にずっといられるからこそだ。
春香は夢龍の姿が角を曲がり見えなくなるまで、そこで見送り続けた。こうやってもう幾度、愛する男の無事を祈りつつ送り出したことか。春香は今、満ち足りて幸せだった。それは何も両班の奥方になれたからではない。愛する夢龍の傍にずっといられるからこそだ。

