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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第3章 〝本の虫〟と呼ばれる少女
「ああ、本当に〝忠孝明道〟なのね」
ファソンは感じ入ったように呟き、腕に抱えた本をギュッと抱きしめた。
「やっと手に入ったわ」
愛おしげに分厚い書物に頬ずりしたまさにそのときだった。ドスンと背後から強い衝撃が押し寄せ、ファソンの華奢な身体は前方へとつんのめった。
「痛―」
ファソンは勢いで飛ばされ、膝を突く形で床にへたり込んでしまった。ここは都は外れの下町の一角、町の人々からは〝曺さんの本屋〟と呼ばれている古本屋だ。ファソンはこの本屋の常連の一人でもある。
ファソンは感じ入ったように呟き、腕に抱えた本をギュッと抱きしめた。
「やっと手に入ったわ」
愛おしげに分厚い書物に頬ずりしたまさにそのときだった。ドスンと背後から強い衝撃が押し寄せ、ファソンの華奢な身体は前方へとつんのめった。
「痛―」
ファソンは勢いで飛ばされ、膝を突く形で床にへたり込んでしまった。ここは都は外れの下町の一角、町の人々からは〝曺さんの本屋〟と呼ばれている古本屋だ。ファソンはこの本屋の常連の一人でもある。