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銀木犀の香る寝屋であなたと
第9章 銀木犀の香りと共に
 一樹はふっと優しい眼差しを見せた後、自分自身の起立した一物を眺め呟いた。

「僕は、女を抱いたことがないのだ」
「え……」

「だからお前をこれ以上良くしてやれる自信がないのだよ」
「ああ。なんて清く過ごされてきたのかしら……。それに比べて……、あ、あたくしは……」

「お前は清いよ。神々しいくらいだ」

 珠子は熱くたぎる一樹の一物にそっと触れる。

「そ、その、大きくなったものを、私の窪んだところへ差し込んでください」
「こ、こうか?」

 男根をグイッと持ち、少し下げ、珠子の開いた足の濡れそぼった原泉へとゆっくり突き進む。

「あ、あ、ああ、ああっ」
「ふっ、うぅ、あ、あったかいな……」

 一樹は珠子の中にすべておさまり身体を密着させた。珠子は初めて向かい合って抱き合うことに感動を覚える。(今、初めて愛し合っているのだわ)

喜びで涙が溢れる。
一樹は珠子の流す涙を全て吸い取り顔じゅうに口づけをした。

「一つになったな……」
「ええ」

「まるでイザナギになったような気分だよ」
「私もあなたのイザナミでありたい……」

「此の吾が身の成り余れる処を以ちて、汝が身の成り合はざる処に刺し塞ぎて、国土を生み成さむと以為ふ。生むこと奈何。」
「然善けむ。」

 二人は古事記の台詞を言い合い、優しく笑い合った。

しばらくじっと繋がりあい肌の感触を確かめ合うと、一樹はゆるやかに腰を動かし始める。
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