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銀木犀の香る寝屋であなたと
第7章 別離
「どうしたの?」
「あ、ご、ごめんなさい。吉弘さん。なんでもないのよ」
「寝なさい」
「僕たちどこかへ行くの?」
「……」
「話した方がいいわね……」
吉弘を無視して大人二人で決められるほど単純な内容ではなかった。ともすれば母と子が離れ離れになるのだ。
珠子は包み隠さず、藤井道弘の要望を吉弘に伝えた。
吉弘は表情を変えず静かに最後まで聞いている。
数秒押し黙ったのち吉弘が沈黙を破った。
「珠子かあさまはどうしたいの?」
「ど、どうって。吉弘さんをちゃんとした住まいと教育を与えて差し上げたいのよ。
でもキヨさんと離れ離れにはさせたくないの」
「母さんは?」
「わたしは珠子さんが決めることが一番いいことだと思ってるの」
「ふーん」
なかなか答えが見つからなかった。こちらの都合の良い話を道弘が聞いてくれるかどうかわからない。
「あ、ご、ごめんなさい。吉弘さん。なんでもないのよ」
「寝なさい」
「僕たちどこかへ行くの?」
「……」
「話した方がいいわね……」
吉弘を無視して大人二人で決められるほど単純な内容ではなかった。ともすれば母と子が離れ離れになるのだ。
珠子は包み隠さず、藤井道弘の要望を吉弘に伝えた。
吉弘は表情を変えず静かに最後まで聞いている。
数秒押し黙ったのち吉弘が沈黙を破った。
「珠子かあさまはどうしたいの?」
「ど、どうって。吉弘さんをちゃんとした住まいと教育を与えて差し上げたいのよ。
でもキヨさんと離れ離れにはさせたくないの」
「母さんは?」
「わたしは珠子さんが決めることが一番いいことだと思ってるの」
「ふーん」
なかなか答えが見つからなかった。こちらの都合の良い話を道弘が聞いてくれるかどうかわからない。