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色絵
第2章 入門
「では午後から始めましょうか、まず1週間は僕の仕事を見ていて下さい。
僕が描きながら、道具や、コツなどを説明しますから、貴女は見ていて下さい。」
「わかりました。」
「まずは、もうすぐお昼になるので、一度お家に戻って下さい。
午後1時過ぎならいつでも構いませんよ。
来たら、外のインターホンを押して、今度はこの部屋まできて下さい。」
「はい。」
「それと、貴女、香水をつけていらっしゃいますね。」
「はい。すみません。」
「謝ることはないのです。
個人的には清楚な香りで好きなんですが、
絵を描く時には、無色無臭を心掛けているので、
お家に戻られたら、シャワーを浴びて、香りを落としていただけませんか?」
「すみません。わかりました。」
「謝らないでください。僕のわがままにお付き合いさせて、申し訳ないのはこちらですから…」
先生は困った顔をされた。
ワタシは、先生の顔をみてドキドキしっぱなしだ。
素敵な方だけど、それは、純粋なドキドキで、夫に言えない、やましい気持ちなどではない。
単純に、他人と接することが少なすぎて、人と関わるだけでドキドキしているのかもしれない。