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色絵
第2章 入門
1時過ぎなら、と言われたのに、早く行きたいので家を出る。
また、ご近所の目を気にしてインターホンを押す。
「どうぞ。」
先生の低い穏やかな声が聞こえた。
ワタシは急いで門をくぐって中に入った。
ワタシは庭木をゆっくり眺めながら小路を歩いた。
さっきは緊張して、良く見れなかった部分もあったから…
石畳は一本道だけど、奥に進めるようになっているところがいくつかあり、
路の両脇以外にも沢山の木や草花が植えられていた。
先生に許可を得て、今度もっとお庭を拝見したい。
どこもためいきがでるほど美しく、庭は良く手入れされていた。
カラン、カラン…
玄関の扉を開ける。
「熱心な生徒さんですね。」
アトリエから、先生の声がする。
先生がお部屋から出て来られて、
ワタシは息を飲むほど驚き、思わず手を口に持っていってしまった。
「無色無臭と申し上げたでしょう。」
先生はワタシの驚きへの返事をしている。
勘が良いというか、繊細な方なのだろう。
先生はワタシの表情を読み取り心の内を察してくださる。
先生は先程の紺の着物と羽織でなく、真っ白な着物と帯をお召しになっていたのだ。