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色絵
第9章 猫
先生の熱い視線を見つめられなくなり目を閉じようとした時、
カチャリ
ドアノブが回り、静かにドアが少し開く。
キャアァァァ…
ビクッ…
ワタシの叫び声に先生が止まる。
タタタタタタッ…
明らかに2本足の足音が廊下を走り去っていく。
「先生っ…」
先生が離れ、シーツをワタシにかけ、着物を羽織り廊下にいき足音を追いかけていく。
「こら、部屋にいなさいと言ってあるでしょう。」
奥の方で先生の低い声が聞こえる。
やはり、先ほど少し開いたドアから見えたのは目だったのだ。
何が起きたのか、どうしたらいいのか、わからないワタシはシーツにくるまり先生の戻りを待った。
数分間が凄く長く感じたが、先生が戻って来られた。
その表情は固く、ワタシはいたたまれなくなる。
「シャワーを浴びて落ち着いたところで話をしましょう。」
先生がワタシの手を引きバスルームへいく。
互いの体を洗う、いつもと変わらない優しい手。ただそれ以上の触れ合いも言葉もなかった。
ワタシの服が用意されていて、それを着る。もう会えないのだろうか…
不安になる。