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色絵
第2章 入門
「大丈夫…
僕が教えるから、
真っ白な紙に色を付けるのと同じだよ。
貴女は真っ白な紙だ。僕が全てを注いで貴女を色付けるよ。」
ワタシが先生に染められる…
表面的な言葉の意味として捉えてしまい、ワタシは顔が赤くなってしまった。
描きながら話していた先生の手が止まり、振り向かれる。
先生はワタシの真っ赤な顔を見て、
「自信過剰な発言だったかな?
でも大丈夫、上達するまでちゃんと教えるから…」
とても照れくさそうにおっしゃった。
ワタシは益々赤くなり俯いてしまう。
「この一輪だけ描かせてね。」
また、先生は作品に戻っていった。
先生の筆使いを見る。
色を完全に混ぜる時もあれば、筆に二種の色を付け、筆を捻りながら、色付けすることもある。
筆も一筆で色を入れたり、重ね塗りしたりと色々だ。
花びらが1枚ずつ色付けされていく度に、より立体的に奥行きが表れていく。
実物より生き生きとして、命が吹き込まれていく。
先程、見て感じる人がいて、絵に命が吹き込まれると先生はおっしゃったが、色付けの時点で命は吹き込まれていく。
吹き込むというより、先生の命を分け与え、注ぎ込んでいる。