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色絵
第9章 猫
唇を離す。
ッハァ…ハァ…
二人とも荒い息をする。
せんせぇの…熱い…
貴女の至福の笑みに愛おしさが増す。
唇を啄みながら、対のモノが溶け合う余韻を二人で味わった。
着物を羽織りバスルームに向かう。私の服も用意される。
今日は絵の為というより互いの為に体を重ねていた。
シャワーを浴びて、ようやく主人のいる家に帰らなければならないこと、父親を待つ沙絵さんの存在を思い出す。
先生も同じ気持ちなのか、どちらも無言で口づけしながら体を洗っていた。
先生がワタシの背中を拭きながら、項にキスして囁いた。
「愛してます。明日も来てくださいね。」
どんな表情で言われたのか、ワタシも自分の表情を見せられず…
「はい。」
背を向けたまま頷いた。
服を来て玄関に向かう。
「また、遅くまで引き留めてしまいましたね。」
先生の寂しそうな笑顔に送り出されて屋敷を出た。
でも、もうワタシは悩まなかった。
沙織さん、沙絵さん、主人のことを考えることもなかった。
ワタシは先生を愛している。
先生もワタシを愛している。
理性や道徳でなく、心も体も離れられない。
その欲だけで生きると決めた。