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色絵
第2章 入門
「貴女は簡単に謝る。軽い冗談で流して下さいよ…
でもね。恋心がない訳じゃないんですよ。恋人がいたときもあったし、もう枯れてしまった訳でもない。
ただ、結婚しようと思うほどの縁がないまま、この年になってしまった。」
「この年って、先生、おいくつなんですか?」
「今年34になるんだけど、30過ぎたら年なんてどうでもよく、確かそのくらいだよ?って感じかな…」
一歩先を歩く先生の表情がわからず、変な話題を向けてしまったなと思う。
「気にすることないですよ?
年を取りたくないとか女々しいこと思ってないですし、創作意欲の源ですから…」
先生が振り向いて笑顔でいるのでホッとする。
「命にはね、限りがあるんですよ…
だから華がある。
その素晴らしさや美しさをとどめておきたくて筆をとるんです。
だからね、今が大事なんですよ。」
諭されるように話されて、ワタシは黙って頷いた。
ワタシの華は何時なんだろう。過ぎてしまったのか、これからなのか…