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色絵
第2章 入門
「はい。でも、油絵の具で隠れてしまう赤い樹液から描こうと思われる先生のほうが凄いです。」
先生は驚いた表情になる。
こんなに楽しい会話のやり取りは久しぶりだった。
先生と今日初めてお会いしたということを忘れていた。
「今日のところはこの辺にして、少し庭を散歩しませんか?
実は名前の解らない草木や、扱い方が解らずに弱っているようなものもあるんです。」
先生の申し出は、ワタシの望みでもあり、二つ返事で庭に向かった。
着物のまま庭に出る。女物の草履まである。
「母や姉や、その他の身内の形見なんですよ。着物も草履も…
別に家は呉服屋ではないですよ?」
先生がワタシの心を読み取ってくださるので、口下手なワタシは居心地がよい。
庭を散歩して、花の名前などを話しながら他愛もない話をする。
先生もお一人で退屈してらしたのかな…
「先生って独身…」
「そうですよ。独身男といるのは危険でしょうか?」
「いえ、全然…」
「全然と言われるのも男としてどうなんでしょうか…」
「あっ…ごめ…」