この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
色絵
第11章 無花果

涙を溢して頼んでも聞き入れて貰えなかった。
先生が作品の私たちを指でなぞる。
くねくねとイヤらしい手つきで…
一度私と目を合わせたが、椅子の後ろに回り、項に口づけを始めた。
「僕の宝物…
貴女を愛しているのですよ。」
「沙絵さんと沙織さんをでしょう…」
「では、貴女も愛しています。」
「違います。先生は沙織さんを愛しているだけです。
沙絵さんは身代わり…
ワタシはさらにその沙絵さんの身代わり…
いえ、ただの性欲の捌け口だったんでしょう。」
「違いますよ。わかってもらえないでしょうか…
とりあえず、話を聞いてもらいましょうね…」
チュッ…
項にキスされる。
「沙絵が沙織の実家に連れて行かれてからも、僕は毎日会いにいきました。
でも、ずっと会わせて貰えなかった。
沙織の母親の葬儀でやっと沙絵に会えました。
沙織の父親は仕事人間でしたから、沙絵は全くなついていませんでした。
その後も沙絵に会いに毎日いきました。
そしてやっと、なつかない沙絵に手を焼いていた父親が、僕と沙絵の養子縁組を認めました。

