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色絵
第11章 無花果
「沙絵?
お父様…
沙絵のこと好き?
沙絵が居ないと困る?」
「好きだよ。娘として…
居なくならないよ。僕は…
沙絵がたまに居なくなっちゃうんでしょ?
お母さんのフリしてるんでしょ?
恋人じゃなくても僕は沙絵と一緒にいるよ。家族だから、
可愛い娘だから…」
「私はどうなるの?
君の為に、人生を捨てたのに、私を沙織を愛せないと言うの?」
「沙絵、沙織はね。そんなことは言わないよ。
そう思ってたんじゃないか?っていう僕の考えを沙絵に話しただけ。
沙織はそんな風に何かを条件に人を苦しめるような女性じゃないよ。
望まない結婚でも、宿った命を、君が、沙絵が生まれて来るのをずっと楽しみにしてたんだよ。
沙絵、もう沙織になるのはやめようよ。」
「君は……、……ぅ君は、お父様はぁぁ…」
「沙絵、僕は今から本当に愛してるこの人を抱くよ。
沙絵、娘だから愛が無くなる訳じゃない。
沙絵が大人になって、本当に愛する人が現れるまで、ずっと一緒に居るから。」
これだけ話しこんで、熱が褪め、萎えてしまうのが普通なのに…
貴女も、沙絵と僕の会話を涙して聞いていて、渇れてしまってもおかしくないのに…