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色絵
第3章 デッサン
「帯を外したくなってしまいそうだ。」
「えっ」
ワタシは身を固くするだけで、何の抵抗も出来ない。
「冗談ですよ…
そのくらい美しいということです。」
ワタシは振り向くことが出来ないが、先生の言葉に、襟足にかかる声に、体は熱くなる一方だった。
「顔だけ振り向いて、帯を結ぶ様子を見ていてくださいね。」
御太鼓が腰に作られる。
先生が肩に掛けていた帯締めを取り、御太鼓に通す。
帯締めの端を持つ先生の手が、ワタシの前に回って、キュッと帯締めが結ばれる。
先生に後ろから抱かれているような格好になる。
ワタシは顔が赤くて俯いてしまう。
飾り結びした帯締めの端を、縛られた帯締めにしまっていく。
「出来ましたよ?ご自分でやってみますか?」
「はっ、はい…」
先生の体温が伝わるほどの近さに、ワタシはドキドキしていた。
鏡を見ながら帯をほどく、帯締めを首にかけておく。
帯を今一度強く結び、御太鼓を作る。見ていたようには上手く作れない。
「鏡は見るために出しましたが、自分で結ぶ時に頼っちゃ駄目なんですよ。」