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色絵
第3章 デッサン

「鏡で見たものは頭の中にイメージとしておいといて、実際は帯の感触を手で見ながら作っていくんですよ。」

先生の手がワタシの手に添えられて、御太鼓を作る。

恥ずかしいけれど、先生はいたって真面目なのだ。

後ろ手になるワタシの手と同じ向きにして重ねるので、先生の手の甲はワタシの腰に触れる。

先生がワタシに一生懸命説明するので、前屈みになりワタシの肩や耳に先生の顔が触れそうになる。

真剣な先生に不謹慎とは思いながらも、ワタシは逸る鼓動を抑えることが出来なかった。

4、5回解いては結びと繰り返し、ようやく一人で御太鼓結びが出来るようになった。

「出来ましたね。」

帯の仕上がりを鏡で確認するワタシと、鏡の中の先生との視線が合う。

鏡越しに絡む視線って、どうしてイヤらしく妖艶なんだろう。


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