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色絵
第3章 デッサン
「直接見るのでないから、盗み見た感覚になるんですよ。
直接見る時は、相手に見ていることを知られる覚悟で見ますよね。その時点で自分も見られる覚悟でいます。
鏡越しの時は、自分も相手も虚像を見ています。そして、映像の一部として相手を捉えながら、相手に視線が気付かれないと思い込んでしまうのです。
意外にも、鏡の自分を見ながら相手を追うのは難しくて、自分は無防備になります。
相手の無防備な姿を盗み見て自分も無防備だと認識しています。
それが鏡の中で視線が合うということは、無防備、つまり裸を晒しながら相手の裸を盗み見てるんですよ。だから後ろめたさがある。」
先生は、またワタシの心を読み取った。
そして、鏡の中で視線を絡ませながら、話し続ける。
その間、先生は裸を晒しているのと同じだと告白しながら晒し、ワタシも裸なんだよと知らせながら、視線を絡めているのだ。
実際に裸でいるより淫靡な行為に、ワタシは熱くなるだけでは済まされない体の痺れに酔った。
真っ赤になるワタシを先生は見つめる。
ワタシの視線は赤い自分と先生の澄んだ瞳を往復する。
とうとう、いたたまれなくなり視線を反らせた。