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色絵
第3章 デッサン

それは、女性の背面を描いた絵だった。


女性の帯は中途半端に外されていて、かろうじて腰に引っ掛かっている。
細かい柄の赤い着物と白襦袢がズルリと剥けて、女性の片方の肩だけ露になっているのだ。

露出しているのは右肩だけ…
それなのに、女性がはらりと肩を見せて誘っているのか…

もしくは、昂る情欲に帯を解き、今は前に立ち、女性の襟元を無理矢理開いた男性がいるのか…

いずれにせよ、描かれていない男性の存在までが浮かび上がる。

その男性にほだされて燃え付いた情欲の炎が描かれた絵なのだ。

そして、その男性とは、描き手である先生だと窺える。

ワタシが絵に囚われて、無言で立ち尽くしていたのはどれくらいの時間だったろうか…


「僕は色絵と名付けているんですが…
女性をモデルにするなら、こういった絵を描くことになりますが…

ご覧の通り、モデルの肌だけでなく、内面まで描きあげてしまいますよ?」


先生はワタシに背を向けたまま話して、絵に近づいていき、絵の女性の露になっている肩から背中を通り腰までを撫でた。

ワタシは自分の体が撫でられたようにゾクゾクとした。


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