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色絵
第3章 デッサン

「あの…この絵もモデルがいるのですか?」

ワタシは単刀直入に質問していた。単刀直入というのは、自分の嫉妬心を剥き出しにしてしまったという意味で…

「いるような、いないような、そのままこの姿のモデルは居ませんでしたよ。」

ワタシは大変失礼な質問をしてしまったと後悔した。そして先生の問いかけに返事が出来なくなってしまった。

沈黙がしばらく続く。

「僕は『教えています。』と書いたんです。モデルを募集してはいないんです。」

ワタシは恥ずかしくて火がついたように赤くなり、涙腺が緩んでしまった。

先生が振り向かれた。泣き出してしまいそうで、下を向いて誤魔化した。

先生が近づいてくるのがわかり、どうしたらいいのか判らなくなる。

「でも、教えて収入を得ようと思っていた訳じゃないし、どちらかというと退屈しのぎだったから…
貴女を描いてもいいんですよ。
ただ、写真のように簡単にはいきませんよ?
貴女の心まで透かして描いてしまうでしょうね。
それでもいいという覚悟が貴女になければ、辞めた方がいいと思うのですが…」

先生はきっとワタシを見ている。優しい視線を感じた。

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