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色絵
第4章 色付け
「貴女を紙に貼り付けるほどの糊は用意できないです。」
ワタシは遠回しに断られたのだと思い、思わず先生の方を向いた。
「冗談です…」
クスクスと先生は笑う。
「でも正解ですね。
貴女を描くのでなく、貴女を絵にしてしまうほど、丸ごと写してしまいますよ?
その覚悟が出来たということですか?」
「はい…お願いします。」
先生が立ち位置をずらす。今描かれていたのは、昨日のデッサン画を対象にしたワタシの絵だった…
「あっ…」
白だけの絵を色で表現する難しさ、それなのに先生はワタシの部分を色付け終えていた。
椅子とテーブルがまだ色付けされていないので奇妙にワタシだけが宙に浮いていた。
「コピーのコピーで難しいですね。
貴女を思いだしながら描いてみましたが…
僕もあれから考えました。
貴女の絵を描いてみたいです。
でも、教えるのも、貴女にも絵を描いて欲しいのです。
だから、午前はレッスンして、午後はモデルになっていただくというのはどうでしょうか…」
先生の提案はとても素晴らしいものだった。
「ぜひお願いします。」
ワタシは深々と頭を下げた。