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色絵
第5章 蕾

少し早めに午後が始まる。まず着物が衣紋掛けに掛けられた。

紫がかったエンジの地に淡いピンクの牡丹の柄だ。

「牡丹での姿はわかりますか?」

「座れば牡丹です。」

「芍薬と似てますが、丈が低くて、座った姿に見えるということでしょうかね…」

先生は椅子を置いて着物を背もたれに掛けた。
そして濃い紫の帯も用意された。

対面に先生のテーブルと椅子を置く、向かい合って座るようになる。

「では帯を外して、下帯を緩めて腰掛けてください。牡丹の着物を引っ張りますからゆっくり腰を落としてください。」

ワタシは白の着物の帯を外して、休憩用のテーブルに置き、下帯を緩めた。

椅子の着物を引き上げ右腕を通す。左肩はあまり引かず、左手は袖の中に入ったままで着物の肩が肘にある状態だ。

「クッションをあてがいましょうね。ゆったり寄りかかって。」

背もたれの上の方にクッションが挟まれる。

浅めに腰掛けだらんと寄りかかっているワタシ。

先生が離れていく。

「下帯を腰骨あたりに、できるだけ下げなさい。」

ズクン…

命令にワタシの体は痺れる。右手だけで帯を下げると着物の合わせが開いていった。


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