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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第14章 第三話 【観玉寺の廃妃】 祭りの夜
祭りの夜
明姫は先刻から池の汀にしゃがみ込んで、一心に水面を見つめている。水面には幾多の灯籠が浮かび、ゆらゆらと水面を照らしながら揺れている。薄紅の布を張った灯籠にはすべて片面に願い事が記されていた。
今夜は一年に一度の和魂祭だ。本来はこの祭りは年の初めの満月の夜に行うものだが、今年は雪が何日も降り続き、祭りどころではなかった。観玉寺も僧や寺男たちが総出で雪かきをしただけでは足らず、ふもとの村からも応援が来てやっと事足りたほどだったのである。
結局、一月に例年どおり行うのは無理で、今年だけは異例のふた月遅れとなった。
明姫は先刻から池の汀にしゃがみ込んで、一心に水面を見つめている。水面には幾多の灯籠が浮かび、ゆらゆらと水面を照らしながら揺れている。薄紅の布を張った灯籠にはすべて片面に願い事が記されていた。
今夜は一年に一度の和魂祭だ。本来はこの祭りは年の初めの満月の夜に行うものだが、今年は雪が何日も降り続き、祭りどころではなかった。観玉寺も僧や寺男たちが総出で雪かきをしただけでは足らず、ふもとの村からも応援が来てやっと事足りたほどだったのである。
結局、一月に例年どおり行うのは無理で、今年だけは異例のふた月遅れとなった。