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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第14章 第三話 【観玉寺の廃妃】  祭りの夜
 だが、これほどまでに激情に駆られているユンに慈鎮の名を告げることなどできない。もし、ユンが国王という名の下で慈鎮を罰するようなことがあれば、取り返しがつかない。
「それは申し上げられません」
 明姫は言うなり、口を引き結んだ。
「どうでも言わないつもりか」
 見上げる明姫の髪を撫でながら、ユンが顔を覗き込む。髪を撫でる手つきはこの上なく優しいのに、声はまるで氷の欠片を含んだように冷たかった。
 そう、今、紫紺の空高く冷たい輝きを放つ孤高の月のように。
「良かろう。言わなかったのを後悔するようなことになっても構わぬというのなら」
 髪を撫でていた手が下に降り、上衣の前紐をシュルリと解いた。
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