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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】 再生
「何故、ここに桜がたくさん植わっているか、その理由が判ったか?」
「はい、仁誠王后さまがお好きだったからですね」
「そう」
ユンは満足げに頷き、また眼前の桜に視線を向けた。紅色のしだれ桜が眼にも眩しい。
「この桜は朝鮮の名所といわれるところからわざわざ苗木を取り寄せ、植えさせたんだ。お祖父さまがお祖母さまのためにとね」
仁誠王后は誰もが羨む生涯を送った人である。良人である国王に一身に愛され、王は王妃の他に側室を一人として持たなかった。王が世子に位を譲ってからは、国母として皆から尊崇を受けた。六歳年下の王よりも先立つこと数年、この貞淑で徳の高い王后の死に際し、国中の民が慟哭したといわれる。
「はい、仁誠王后さまがお好きだったからですね」
「そう」
ユンは満足げに頷き、また眼前の桜に視線を向けた。紅色のしだれ桜が眼にも眩しい。
「この桜は朝鮮の名所といわれるところからわざわざ苗木を取り寄せ、植えさせたんだ。お祖父さまがお祖母さまのためにとね」
仁誠王后は誰もが羨む生涯を送った人である。良人である国王に一身に愛され、王は王妃の他に側室を一人として持たなかった。王が世子に位を譲ってからは、国母として皆から尊崇を受けた。六歳年下の王よりも先立つこと数年、この貞淑で徳の高い王后の死に際し、国中の民が慟哭したといわれる。