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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第16章 第四話 【永遠の少女】 愛しき者
しかし、自分がウンを抱いて挨拶に訪れても、大妃は大妃殿から出てくることは一度もないのだ。大抵はお付きの朴(パク)尚宮が出てきて
―大妃さまはただ今、ご気分が悪く伏せっておられます。
と、慇懃無礼な言葉が返ってくるだけだ。
正妻と側妾、確かにその違いはあれども、立場は中殿も明姫も同じ嫁のはずであった。が、大妃は中殿には微笑みかけても、明姫にけして笑顔を見せることはない。
幾ら家門が逼塞しているからといっても、自分だって両班(ヤンバン)の娘だ。しかも父親は捕盗庁(ポトチヨン)の副官を務めるほど前国王の信頼も厚かった。けして身分が低いわけではない。
やはり、大妃はどこまでも自分を憎んでいる。その事実を眼前に突きつけられたようで、哀しかった。その日だけは自分の居室に帰ってから、一人で泣いた。
―大妃さまはただ今、ご気分が悪く伏せっておられます。
と、慇懃無礼な言葉が返ってくるだけだ。
正妻と側妾、確かにその違いはあれども、立場は中殿も明姫も同じ嫁のはずであった。が、大妃は中殿には微笑みかけても、明姫にけして笑顔を見せることはない。
幾ら家門が逼塞しているからといっても、自分だって両班(ヤンバン)の娘だ。しかも父親は捕盗庁(ポトチヨン)の副官を務めるほど前国王の信頼も厚かった。けして身分が低いわけではない。
やはり、大妃はどこまでも自分を憎んでいる。その事実を眼前に突きつけられたようで、哀しかった。その日だけは自分の居室に帰ってから、一人で泣いた。