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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い
 自慢ではないが、学問は苦手である。その点では明姫はずっと崔直宮を悩ませてきた。
―少なくとも、その自覚はあるつもりだ。
 伽耶琴(カヤグム)など、楽器を扱うのには長けているが、机上の学問とか暗記となると、からきし駄目。要するに、勉強より実践に向いているという典型的なタイプである。
「両班家の娘として生まれるのも幸せかどうか判らないってことね」
 思わず正直な気持ちが零れ出る。
 自分などは、たとえ父が健在で家門が存続していたとしても、間違ってもお妃になんてなるはずもない。
 父には野心というものはまるでなく、日々の勤務に没頭するのが生き甲斐という至って真面目な男であった。また、先祖代々、中級官吏止まりの我が家は、国王の妃を出すという家柄ではない。
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