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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い

「向こうの牡丹の茂みに落ちていたぞ」
男が振り返って、指さした。先刻、明姫が蝶に見とれていた場所である。
しばらく本を胸にかき抱いていた明姫がまたしても情けない声を出した。
「や、破れてる―」
よくよく見ると、表紙は土で汚れている。まあ、それは払い落とせば殆ど目立たなくなるものの、肝心なのは表紙の一部が少し破れてしまったことだ。
「どうしよう、大切な本なのに」
明姫は涙声になった。
「どれどれ、貸してごらん」
男は明姫から本を取り上げ、しげしげと眺めている。
「この程度なら、そなたが黙っていれば判らない」
男が振り返って、指さした。先刻、明姫が蝶に見とれていた場所である。
しばらく本を胸にかき抱いていた明姫がまたしても情けない声を出した。
「や、破れてる―」
よくよく見ると、表紙は土で汚れている。まあ、それは払い落とせば殆ど目立たなくなるものの、肝心なのは表紙の一部が少し破れてしまったことだ。
「どうしよう、大切な本なのに」
明姫は涙声になった。
「どれどれ、貸してごらん」
男は明姫から本を取り上げ、しげしげと眺めている。
「この程度なら、そなたが黙っていれば判らない」

