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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第5章 第一話【桜草】 別離という選択
その逸話を裏付けるように、町の片隅の彼が〝隠れ家〟と称する一軒家には、たくさんの本が置かれていた。小さな小卓を置けば、後はひと二人がやっと座れるほどの空間に、いかにも難しげな書物が山積みされていたのを思い出す。恐らく、根っからの本好きなのだろう。
そういえばと、明姫は初めて彼と出逢ったときのことを思い出していた。漢陽の町中で両班の極道息子に絡まれていたところ、ユンが颯爽と現れて助けてくれようとしたのだ。
ところが、そこまでは良かったものの、 ユンはまったくの見かけ倒しで―もっとも、見かけだって、どう見ても武芸達者なようには見えず、むしろ頼りなかったが―、あの場で極道息子とやり合う羽目にならなくて良かったと思わずはいられない。
そういえばと、明姫は初めて彼と出逢ったときのことを思い出していた。漢陽の町中で両班の極道息子に絡まれていたところ、ユンが颯爽と現れて助けてくれようとしたのだ。
ところが、そこまでは良かったものの、 ユンはまったくの見かけ倒しで―もっとも、見かけだって、どう見ても武芸達者なようには見えず、むしろ頼りなかったが―、あの場で極道息子とやり合う羽目にならなくて良かったと思わずはいられない。