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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第5章 第一話【桜草】 別離という選択
「提調尚宮さま。お呼びでしょうか」
外から声をかけると、〝入りなさい〟とすぐに返事があった。扉を静かに開け中に入ると、明姫は深々と腰を折る。
提調尚宮は後宮生活四十年の大ベテランであり、先輩だ。キャリアの尚宮となった人の中では異例の〝お手つき〟尚宮だとひそかに噂されている。後宮においての尚宮という呼称には実は、ふたとおりある。
まず、崔尚宮や大妃殿の朴尚宮のような職歴を積み上げてきた、たたき上げの尚宮である。これはキャリア女官といえる。若い女官たちを監督・統率し、女官長を補助して後宮の実務や運営が滞りなく運ぶように働く。
外から声をかけると、〝入りなさい〟とすぐに返事があった。扉を静かに開け中に入ると、明姫は深々と腰を折る。
提調尚宮は後宮生活四十年の大ベテランであり、先輩だ。キャリアの尚宮となった人の中では異例の〝お手つき〟尚宮だとひそかに噂されている。後宮においての尚宮という呼称には実は、ふたとおりある。
まず、崔尚宮や大妃殿の朴尚宮のような職歴を積み上げてきた、たたき上げの尚宮である。これはキャリア女官といえる。若い女官たちを監督・統率し、女官長を補助して後宮の実務や運営が滞りなく運ぶように働く。