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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第5章 第一話【桜草】 別離という選択
その日の中に、明姫は宮殿を去った。伯母の崔尚宮に言えば引き止められるのは判っていたから、敢えて伯母には何も言わず内緒で後宮を出たのである。
女官のお仕着せから地味なチマチョゴリに着替え、目立たないように頭からすっぽりと外套を被って門を出た。すべては女官長が準備を整え取りはからってくれた。
いよいよ宮殿の門を出る際は、流石に涙が溢れた。六歳から十五歳までの長い年月を過ごし、生まれて初めての恋を知った場所でもあった。それまで起居していた部屋には、文机の上に伯母への手紙と傍らにはユンが贈ってくれた華やかなチマチョゴリを置いてきた。
女官のお仕着せから地味なチマチョゴリに着替え、目立たないように頭からすっぽりと外套を被って門を出た。すべては女官長が準備を整え取りはからってくれた。
いよいよ宮殿の門を出る際は、流石に涙が溢れた。六歳から十五歳までの長い年月を過ごし、生まれて初めての恋を知った場所でもあった。それまで起居していた部屋には、文机の上に伯母への手紙と傍らにはユンが贈ってくれた華やかなチマチョゴリを置いてきた。