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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第9章 第二話 【桔梗の涙】 対決   
 まだ世子であった時代に呼んでいたように〝爺や〟と呼びかけると、黄内官の皺に埋もれた瞳が潤んだ。
「それでは、お言葉に甘えて、これにて失礼させて頂きます。代わりに若い者を外に控えさせますので、ご用があれば何なりとお申しつけ下さい」
 黄内官は深々と腰を折り、部屋を出ていった。
 ユンは冴えない顔色のまま、椅子に背を預け天井を仰いだ。黄内官がユンの側近く仕えるようになったのは、もう十六年も前になる。
 まだ頑是ない幼児であった彼を背に負い庭を歩いてくれたのも彼だった。這いつくばった黄内官の背にまたがり、〝お馬ごっこ〟をした想い出も数え切れないほどある。
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